エロいお姉さん

ストーリー

人生のモラトリアムとも言える大学生活。
そんな猶予期間に気ままな一人暮らしを送るものの、いささか物足りなさを感じるのも事実である。

幸いなことに生まれ持っての要領は決して悪くはなく。
それなりの大学に通い、更には3年時にして既に単位についても安泰だ。

……だからこそだろうか。
拍子抜けと言うか、文字通り残りの猶予期間にこれといった目標や張り合いも無く、ダラダラとした毎日を貪るだけで日々が過ぎていく。

「……せめて、大学生らしくハメを外せてればなぁ」

そんな淡い期待を抱いて門を叩いたテニスサークル……いわゆるテニサー。
こんな張り合いの無い日々も、本を正せば全ての元凶はここに行き着くだろう。

『チャラい男女共が、テニスそっちのけで日夜パーティナイ! エロい女との肉欲の日々!』

そんな期待で胸と股間をギンギンに膨らませて入会したものの、まさか本当にテニス三昧の健全サークルだったなんて……。

「……ま、そんなサークルに3年間真面目に通っちゃってる俺も俺だケド」

いざやってみると意外に楽しく、元々運動も嫌いじゃないから何だかんだ通っちまうんだよなぁ……。
とは言え元々ヤリサーを期待していた身としては、悶々としてしまうのは否めない。

そんな欲求不満を静めるため、今日も今日とてAV片手に自慰へと耽る。
大画面に映し出されたのはオキニのギャル物作品、ヘッドホン要らずの大音量で愉しめるのも一人暮らしの良いところだ。

「と、そういやウチの大学にも一人だけ居たなぁ……ギャル」

シコリ終わりの賢者タイムに、ふと同じテニサーに所属する姫川のことを思い出す。
人好きする気安い性格もあって、大学では数少ない女友達の一人である。

「ふぁぁ……、やっぱアイツも実際エロいんかなぁ……?」

そんなことをぼんやりと考えながら、俺は押し寄せる眠気に誘われベッドへと横になるのであった――。

「――ねぇ、アタシとぉ…………セフレになろうよぉ?」

互いにアルコールに溺れ爛れた空気の中、コチラの唇を啄みながら囁く彼女。
熱っぽく汗ばんだ谷間を見せつけながら、まるでオトコを誘うように媚びた態度でカラダを摺り寄せ……。

想像通りの……いや想像以上のエロオンナを前に、俺は頷く代わりにその豊満な乳房を揉みしだいたのだった――――。

俺は、漫画家だ。
本業の一般漫画に納得がいかず別名義で描いたエロ漫画をネットにバラ撒いて
自分の才能を爆散させている2流の漫画家だ。

俺は今、職場の作業机ではなく
場違いなリゾート地に来ている。
そして、自分の描いたキャラクターではなく、
3次元の(巨乳)姉妹と向き合っている……。

離島コスプレリゾート──通称「コスタリア」
島全体がまるまる撮影スタジオのコスプレイヤーさんにとっての夢の島。

「先生、わたし漫画と同じことがしてみたい」
顔を真っ赤に染めた巨乳姉妹の口から飛び出した信じがたい甘い提案に
思わず二度聴きする。

「先生の描いたキャラクターになって、
漫画と同じコトを、してみたいんです! ダメ……ですか?」

──本気で言ってるのか? 大丈夫か?
俺のエロ漫画は、モラルの欠片もない性欲全開シチュエーションと
ポロりチラりは当たり前、むっちりミチミチコスチュームのオンパレードなんだぞ?

そのむッちむちでむッれむれのワガママBODYで
俺の脳内ドスケベWORLDをこの島で具現化しようというのか?

お互いの性欲と愛情をたっぷりと粘膜に塗り込んだ
絶対 で き ち ゃ う あぶなくて気持ちいい
「ロールプレイ」をしようと言うのか?!

困惑する俺の頭とは裏腹に俺のムスコは見たことが無いくらい
「うん! やろう!」と元気よく返事していた。

母ちゃんごめん。お客さんごめん。
この夢の島で、俺は大事に育てた童貞魂を捨ててしまうかもしれない──

ある日、僕は大切なものを失った。

コスプレイベントなどに出向き、
リビドーの赴くままに撮影した秘蔵ポトレ。
そのデータが入ったデジカメが、
不幸な事故で逝ってしまったのだ。

咽び泣く僕を見かねてか、
事故に鉢合わせたと山掛結愛と山掛咲奈の姉妹は、
僕にこう言ってくれた。

「あたしらが代わりにコスプレしてあげよっか?」

僕はノった。ノらせてもらった。

エロ漫画でしか見たことがないぐらいの、
ドスケベボディ姉妹が、
僕だけのコスプレイヤーになってくれるっていうんだから!!

服飾系の専門学生として培った、そして
人形用の衣装制作という趣味で磨いた技術を総動員して、
彼女たちを飾るコス衣装を作り上げて見せる。

さらに勢い込む僕にもう一つの幸運が舞い込む。
ひょんなことから離島コスプレリゾート──「コスタリア」の
チケットを譲り受けることになったのだ。

僕はきっとコスタリアで
最高のポトレを手に入れることになるはずだ。

……でも、島で僕を待っていたのはそれ以上のものだった。

「今日は何のコスで、しよっか?」

「えっちなロールプレイ、したいですよね?」

そんな言葉を僕へ囁く山掛──いや、とろろ姉妹。

僕だけのコスプレイヤーさんと作る、
過激で濃密な、人には見せられないポートレート。

作ってしまって、いいんだろうか──